プロレスの話。
『獣神サンダー・ライガー自伝(上下巻)』を読んだ。
ライガーさんの半生を語る内容ではあるんだけど、本人の話っつうより、彼が語る他のレスラーたちの活躍の方が面白いんだよな。
実質ライガーさん目線で語られる新日本プロレスの歴史って方がしっくりくる。
多分ライガーさんが意識して語っているんだと思う。
自分語りよりも他の選手にスポット当てている感じ。
一番印象的だったのが棚橋と真壁の話。
あの2人は忙しい中でもちゃんと時間見つけて、それをトレーニングの時間にしているんだそうな。
仕事の前のちょっとした空き時間や、夜21時過ぎに仕事終わりに道場に立ち寄ってトレーニングをしているんだと。
プロレス振興の為に色々なメディアに出ている彼らだけど、本業のプロレスもしっかりしているんだな。
やっぱりこの2人は凄いなと思えるワンシーンだった。
ライガーさん自身の話としては、若手への指導について結構良い事言ってるな~と思った。
以下引用。
いま、昔に比べると先輩連中も後輩に優しいですからね。
だけど、僕の持論としてレスラーになろうっていうヤツは個性が強いし、悪く言えばワガママ。
そういった人間の団体生活ですから、ある程度若いウチにガツンといって「そういうのは通用しないぞ」ってわからせないとバラバラになりますから。
―『獣神サンダー・ライガー自伝(下巻)』より
これ、今の時代ではあまり良く観られないかもしれないけど、俺も集団で何かするってなった時はバラバラになってちゃいけない時ってあると思っているんだよ。
ビジネスに徹するってのは悪くはないんだけど、結局人間は感情の生物なので、理屈じゃ割り切れないところって言うのがどうしても出てくる。
そういう時に全員がワガママ通しちゃうといい結果がでなくなってしまうもの。
昨今じゃ飲み会なんかも説教の場だから嫌だみたいに言われがちで、確かに窮屈さを感じる時もあるんだけども、まあお互い酒飲んで腹割って話したら相互理解が進んだなんて話もあるわけで。
とりわけライガーさんも言うように、レスラーってのは俺が俺がしてなんぼな世界だとも思う。
でもお互いの信頼関係がなければ、ああいう激しい技の応酬ってのは出来ない事。
つまり自分を最大限出す事と同時に、自分勝手になっちゃいけない世界だと感じるんだよね。
だからでこそ、若手の内に勝手な事はしちゃいけないよというのを厳しく教える必要があるっていうライガーさんの言い分はすごいよく分かる。
そして何より、これを言うのがライガーさんだからっていうのもあるんだよ。
物事は「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」の方が大事だとは思っているんだけど、ライガーさんのようにしっかり実績と経験を積み重ねた人間だからこそ見える景色があって、その上でのアドバイスだから耳を傾ける価値は大いにあると思う。
この本を読んでいても、ライガーさんの軌跡=新日Jr.の歴史みたいな所があるんだな~ってのがよく分かる。
ライガーさん自身は「僕はレジェンドって呼ばれるのがイヤなんですよ。いつでも重要なのは"いま"であり"これから"なんで」と謙虚に言ってくれているけど、やっぱりこの人なしで今のプロレス界のジュニアって語ることはできないよなと、改めて感じた。
彼は望んでいないのかもしれないけど、日本のプロレスを語るには欠かせないような偉大なレスラーなんだなあと思わずにはいられないよね。