涙目筑前速報++

詰まるところは明日を知る なだらかな日々につまずいて 向かうところはありもせず、未来の居場所だって未定―秋田ひろむ

レッドデッドリデンプション2を全クリした

ゲームのはなし。

先日「Red Dead Redemption 2」を全クリした。
約半年近くこの西部時代のアメリカを駆け回っていた。

スト―リーを進めるというわけでもなく、プレイ時間の殆どは山野を冒険していた。
野生の動物を狩ってはギャングのキャンプに戻り食料を寄付したり、敵対ギャングの襲撃を返り討ちにして追いはぎをしてその金品をまたキャンプに寄付。
道端で出会った困っている人を助けたり、時には法執行官と敵対して賞金首になったり。
そして気が向いた時にストーリーを進めたりした。

正直終わってみて思ったのは、このゲームは全クリする必要が無い。
凄く出来のいい西部時代シミュレーターのようなものなのだ。

スト―リーを進めるよりも周囲を駆け回って当時の雰囲気に浸り続けているのが、このゲームの正しい遊び方なんじゃないかと思えてくる。
前に押井守がFallou4のゲームプレイを連載していた時、メインストーリーそっちのけで自分のキャラ設定に沿って遊んでいたんだけどね。

押井守の『FALLOUT 4』通信

このプレイスタイルこそ、オープンワールド系の世界では正解ともいえる遊び方なんじゃないかと思う。
正直全クリなんかしなくていいわけだ。用意された世界でその住人となって、どこまで遊び倒せるか。
それがこの手のゲームが行きつくプレイスタイルなんじゃないかと思う。

予めスト―リーが用意されたゲームを楽しむのも面白いが、こういう自分で目的を作ってその世界を堪能するプレイスタイルも楽しい。
RDR2はまさにその後者のプレイをしたい場合に、非常に持って来いな作品だった。

ではメインストーリーは大して面白くないのかと言われるとそんなことはない。
ちゃんと各キャラ同士の面白い掛け合いだったりとか、ギャングの栄枯盛衰がしっかり描かれている。
特に前作のスト―リーを知っている人間にとっては非常に入り込みやすいんじゃないか。
個人的にはハビアが結構良い奴だったのが印象的だった。

スト―リーを終えてみてのネタバレを含む感想として、最初に思った事はダッチは辛い立場だなあという事。

元々自由奔放な生き方をするギャングとしてブイブイ言わせてたダッチ・ギャングだったけど、時代の変遷と共に彼らを取り巻く環境も変わっていくんだ。
それに適応できれば良かったんだけど、そんなに簡単に行くものではない。

結果として行く先々で問題を起こしては追われる日々。
ダッチも色々知恵を出してはみるが、悉く空回る。
そして追い打ちをかけるように、縁の下の力持ちとしてギャングに貢献していた古株のホゼアが死んでしまう。

そこから一気にギャングの中枢が瓦解していくんだ。
アーサーも病気になってしまい、代わりに擦り寄ってきたのがマイカというきな臭い野心家。
ここからの組織の崩壊が早かったし、リアリティのあるストーリーだなと感心した。

元々ダッチは戦略家というよりもモチベータータイプの人間なんだろう。
サッカーの監督とかもそうなんだけど、指揮官には戦略家タイプとモチベータータイプがいる。
モチベータータイプは戦略立案は苦手かもしれないけど、それは自分の右腕に任せて、自身は選手の統率だったり士気向上能力がずば抜けている。
言い換えれば、人を動かす能力に長けているのだ。

この能力は結構重要で、人の上に立つ人間はダッチのようなタイプが向いている。
ホゼアのような戦略家タイプは2番手に居るのが組織としては機能しやすい。
しかし、ピースが欠けていった時、モチベータータイプの指揮官は一気に脆くなる。
最後のギャングの拠点で、統率力を著しく欠いたダッチが「みんな、聞いてくれ……計画があるんだ」と独り弱々しく演説を始めた時は、組織の終末の光景さながらだった。
あの演出は本当に上手い。組織の崩壊とモチベーターのトップの悲哀がそこにあった。

そんなギャングの崩壊と自身の身体の限界を感じて、初めて自分と向き合うアーサーという構図も素晴らしい。
今まで自分は好き勝手やってきたが、もうこの生き方はこの時代には合わない。
ならば残り少ない自分の人生で何が出来るか。
本編終盤は彼のその葛藤が非常に素晴らしく描かれている。

そしてエピローグは主人公がアーサーから前作主人公のジョン・マーストンへバトンタッチ。
真っ当な牧場で従業員として働くが、中々ギャングの生き方から抜け出せないジョン。
そんな事もあって一度は妻子に逃げられてしまう。
そこで一念発起して自分の牧場を持とうと独立するわけだ。

そのシーン。そのシーンだよね。このゲームで一番カッコいいというかグッと来たよ。
彼が独立して金を借りるために銀行を目指すシーン。

そこで流れた「Cruel, Cruel World」という曲が凄い良かったんだ。
「生き急ぎ過ぎて間違いまくった人生だったよ。俺は彼女とやり直すんだ。」っていうジョンの心情をバッチリ現したような曲だと思う。

また、それこそが本編の主人公、アーサーの望みでもあったんだよな。
「こんな時代に取り残された生き方なんかじゃなくて、大切な人と真っ当に生きてくれ」というアーサーの想いも乗せている。
アーサーもメアリーとの破局を経ている分、そんな悲しみをジョンにも背負わせたくなかったのだろう。
凄い良い選曲だったと思う。

とは言っても、結局ジョンはその後RDR1の世界で死んでしまう。
この辺りが最近のなろう小説や日常系などのとりとめのないストーリーやハッピーエンドが好きな人には受け入れられないのかもしれない。
だが、個人的にはこのご都合的なハッピーエンドに寄せず、時代や社会情勢の激動感に忠実なストーリーにしているのが良い。

覆水盆に返らず。自分の生きてきた過去は消し去れやしない。
結局の所、赤い死の贖いからは逃れられないわけだ。
今の世の中にも通ずるところはあると思う。
信頼をぶっ壊すのは簡単だけど、それを積み上げるのは大変なもんだ。

その前提があったうえでも、懸命に生きていこうとするアーサーやジョンに、俺は大きく心を打たれたよ。
結末だけ見れば彼らは志半ばで死んでしまうんだけど、その自分達がやってきた過去と向き合った上で、前を向いて何とかしていこうする生き様こそ大事だなと思った。
本当に良いストーリーだな~と思ったよ。ロックスター凄いわ。

西部時代のシミュレーションゲームとしても優秀。
無法者たちの栄枯盛衰と悲哀を描いた映画のようなメインストーリーも面白い。
とても楽しくプレイできました。